CO2添加をすると水草育成の難易度が落ちるというか、成長が促進されるので状態が良くなりやすいということで、多くのアクアリストと同じように僕もCO2添加をはじめました。
CO2添加にはボンベ式、化学反応式、発酵式の3つの方法がありますが、まずは一番手軽に始められる発酵式をチョイス。 全体的に夏休みの自由研究みたいなノリで作れて、割と楽しかったです。
発酵式CO2システムを構築する 【電磁弁とタイマーで自動化】
図のようにペットボトルを計4本使うと、割と安全かつ便利に使えるCO2添加システムが作れます。
発酵過程
発酵用ボトルを複数用意することで、CO2添加量を微調節できるようにします。
まぁ調節といっても、CO2添加量が強すぎれば重曹を増やして抑制するというだけです。 逆に弱すぎる場合は、ドライイーストの量を増やせば良い訳です。 ただ、既に発酵が始まってしまっている発酵液に粉末を追加すると、ほぼ確実に吹き出るので、追加する時は一気に入れないように。 別の容器に移してやった方が良いのかもしれません。
それからCO2が多いとCO2中毒になってしまい、最悪の場合は生体が窒息死してしまうこともありえるようなので、これも注意ですね。
逆流防止ボトル
中央の赤枠で囲われた逆流防止ボトルは、何かのはずみで発酵液が暴発した際に、水槽へ入り込むのを防止するためのボトルです。 安全装置みたいなものですので、不要であればこのセクションは無視しちゃっても問題ない箇所です。
逆流防止ボトルの先では2つに分岐させます。 片方を水槽へ、もう片方を夜間解放用ボトルへと通します。
夜間解放用ボトル
夜間解放用ボトルとは、夜間の間CO2を受け入れるためのボトルです。 夜間解放用ボトルへのルート上に電磁弁を用意し、夜間だけ電磁弁のスイッチを入れることで、CO2が水槽でなく用意したボトル側へと進むようにします。
ボトルとしたのは、発酵によるCO2はアルコール臭が地味にするので、ニオイ成分を濾し取るためです。 ボトルに水を半分くらい入れておけばニオイが出てこなくなります。
また、ここでエアストーンを使っておくと、切り替え後のCO2の再充填されるまでの時間が速くなります。 (水槽内のエアストーンより必要な圧力が高くならないようにする必要があります。)
キャップは当然開けときましょうね。 じゃないと意味がなくなるので。
電磁弁周りは耐圧チューブを
CO2電磁弁は基本的にボンベ使用を前提に作られています。 そのため電磁弁の前後については絶対に耐圧チューブを使用すること。 じゃないとうまく作動しません。
水槽への途中には逆流防止弁を
水槽ルートの途中には逆流防止弁を用意したほうが良いです。 CO2の圧が強い時は問題ないんですが、CO2の圧が完全に落ちてしまうと、水槽の水は逆流しやすくなるみたいです。
システム構築に必要なアイテム
炭酸用の耐圧ペットボトル
炭酸用の耐圧ペットボトルを用意します。 強炭酸のペットボトルだと安心ですね。
ジョイント GX-36
ペットボトルの改造で使うパーツです。 ボトルにハンダごて等で穴を開けたところに、このジョイントを差し込み、接着剤あるいはグルーガンでガチガチに固定します。
エアストーン
水槽と夜間解放用ボトル内のチューブの先にはエアストーンを取り付けます。 CO2専用の物をつけると圧が足りなくて出なくなる恐れがあるので注意。
夜間解放用ボトルには適当なエアストーンで良いですが、水槽用にはアンビリーバブルAir U-typeが良かったです。 発酵式でも細かい泡が出てくれますし、簡易だけども十分なバブルカウンターもついているので便利です。
二又分岐
発酵ボトル側の二又分岐には金属製のON/OFF切り替えできるやつが便利です。 もう片方のボトルの発酵を継続させながら、入れ替えできるようになるので、添加量の調整が必要な時にとかに便利なんですよ。
ただ、この金属のやつはアタリハズレがあるようで、ダメなやつだと空気が漏れます…。 この場所以外はON/OFF切り替えは必要ないんで、ここ以外はプラスチック製の商品を使うことにしました。
CO2電磁弁 SV120-SILVER
電磁弁の多くが5000円近い値段で売ってますが、このSV120という電磁弁は性能が良いのにかなり安い。 しかも小さいです。 よ〜く調べないと出てこなかったので、恐らく一部の人にしか知られていない商品だと思うんですが、一応日本の会社が販売しているらしく、保証も1年と長めなので、結構まともな商品だと思われます。
発熱については、触っても熱さは感じないレベルですね。
耐圧チューブ
電磁弁の前後でしか使わないので短くていいです。 チャームだと180円くらいで1m買えてしまうんですが、送料が…
逆流防止弁
タイマー
通常のアクアリウムで使っているタイマーで夜間だけ電磁弁をONにします。
ただ、僕はTP-LinkのHS105というスマートプラグが家に転がっていたので、それを転用して電磁弁をプログラム操作しています。 もちろん普通のタイマーでも全然OKです。
発酵式CO2の材料について
- 砂糖
- イースト菌
- 水
- スピード調整剤
この4つの材料を混ぜるだけでCO2が生成されます。 実態はイースト菌の発酵によるアルコール生成なんですが、CO2はその副産物として生成されます。 アクアリウムではこのCO2だけを使う訳です。
④についてですが、これは発酵のスピードを調整して生成されるCO2を調整するための材料で、一般的に塩か重曹です。 僕の場合は手間と効果を総合的に考えた結果、重曹を選んでいます。
ちなみにスピード調整には、塩や重曹を添加する以外にもありまして、砂糖ををゼリー化・寒天化して、ジワジワと反応させていく方法も良いらしいです。
添加剤を重曹にした理由
塩と重曹との比較では、それぞれスピードを抑制する方法が異なっている点がポイントだと思います。
塩は殺菌効果で液体が腐敗するのを防ぐ働きがありますね。 一方の重曹は、phをアルカリ性に傾けることによって発酵が進みにくい環境を作ります。 それぞれ作用の仕方は違いますけど、ともに発酵を抑制することは確かです。
ただ、発酵という現象は媒体となる砂糖が減少していくに従って、液体のphが低下(酸性化)していき、その発酵のスピードも落ちていきます。 そして僕はこれがミソだと思うんです。 というのも塩分濃度は発酵に関係なく常に一定ですから、その抑制効果は最後の最後まで続きますよね。 一方の重曹添加では、時間と共に重曹によるアルカリが打ち消されていくため、良い具合にバランスしてくれるんじゃないかなと思ったんです。 つまり塩を使ってしまうと、発酵が進みにくくなる終盤であっても、その抑制効果が持続してしまうように思うんです。 まぁ実際にデータを取ったわけじゃないんで、ほんと妄想レベルなんですけど。
でも僕はそういう理由で重曹を使っています。
発酵式CO2システムのレシピ
水槽サイズが45cm規格なので、ペットボトル2本で3秒に1泡出す場合のレシピになります。 対象水温は26℃です。
- 水400cc
- 砂糖100g
- 重曹12cc
- ドライイースト1cc
砂糖だけ測りでキッチリ計測してます。 重曹とドライイーストは100均で購入した1mlスプーンで適当に測っているだけなので、cc表記です。
今はかなり暑くて重曹の量も持続期間も若干変わってしまうと思いますが、26℃の時期はこの配合の500mlボトル2本で良い感じに1ヶ月近く持ってくれました。
発酵式CO2システムのコスト
設備費
電磁弁抜きだと、たいたい2000~2500円くらいでCO2添加が始められると思います。
でも電磁弁をつけるとなると、例の電磁弁は今日現在の価格で3200円ですから、6000円近く予算を用意する必要が出てきます。 楽をしようとすると、どうしても高くなりますね。 まぁそれでも小型ボンベのシステムよりは断然安いんですが。
維持費
材料ですが、レシートを見ると、下記の値段で調達できました。
材料 | 価格 |
---|---|
砂糖1kg | 156円 |
ドライイースト(3g×4) | 124円 |
重曹(240g) | 100円 |
合計 | 380円 |
いまは更に改造を加えて、2つの水槽に控えめに(3秒に1泡のペースで)添加しているのですが、添加量を調整しやすいように500mlペットボトルを3つに増やしています。
30℃いかないくらいで安定した水槽部屋においては、一回セットすると約3週間くらい持続します。 なので、ペットボトル4本分が一ヶ月分になります。 冬は発酵スピードが落ちるので、3本のままで済むかもしれません。
まぁ今回は4本で1ヶ月分として計算してみます。 すると、材料費はこんな感じになります。
材料 | 価格 |
---|---|
砂糖400g | 62円 |
ドライイースト(4g) | 41円 |
重曹(60g) | 25円 |
合計 | 125円 |
125円です。 3秒に1滴、2つの水槽に添加した場合、月間125円かかってるみたいです。 水槽1つならこの半分で済みますね。 小型ボンベと比べると相当安いと思います。
発酵式CO2の副次的効果
発酵式CO2だと、CO2と共に微量ながらもアルコール分が溶け出してしまいます。 一見これはダメなことだと考えがちです。 というか僕自信、始めの頃はそう思ってましたから。 しかし、アルコールはバクテリアのエサになります。 事実、水槽内のバクテリアを増殖させるため、定期的にアルコールやみりんを投入する人も存在しているくらいです。
発酵式CO2で入ってしまう程度のアルコールなら、特に気にする必要もないはずです。
液体交換のサインは色
発酵が限界に近づいた時のサインは色です。 白濁していた液体がだんだんと無色透明へと近づいてきます。
このくらいの透明度だとたぶんまだ微量のCo2が出ていると思うんですが、僕はこの段階で交換しちゃっています。
ただ写真を見て分かるように、今は3本構成へと変えています。 他の2本の状態が良くてCO2量についても満足できてしまっている時は、このまま放置させちゃうことも全然あります。
発酵式のデメリット:発酵式は温度変化に影響されすぎる
冬になるにつれて、必要な重曹の量が急激に減っていきました。 やっぱり発酵ですから、phよりも温度の方に強く影響されるみたいです。 正直思っていたよりも調整が難しいです。
例えば、水温26℃の場合のレシピでは重曹12ccと書いたんですが、これが20℃前後まで落ちると重曹1.5ccくらいまで減らす必要があります。 めちゃくちゃ落差ありますよね。 しかも天気の影響が強く出ちゃうような部屋だと、さらに難しくなっちゃいます。 日によってCO2量がコロコロ変わってしまって、「昨日はめちゃくちゃ出てたけど、今日はどうしたよ…?」みたいなこともありました。
でもまぁ常に同じ量のCO2が出てなくてもいいような気もするんで、とりあえず1年運用すればなんとかなる気がしています。
以上、今日はこれにて!